車椅子シーティングで褥瘡予防~移動手段ではなく、生活の場を作る~

車椅子シーティングで褥瘡予防~移動手段ではなく、生活の場を作る~

2026年が明けました!今年も楠の杜訪問看護ステーションをよろしくお願いいたします。

さて、新年1回目のブログは車椅子シーティングについてです。

 

皆さんは車椅子というとどんなイメージを抱きますか?単なる「移動の手段」と思っている方も多いかもしれません。

在宅で関わる利用者さんは、1日の大半を車椅子で過ごす方も沢山いらっしゃいます。自分では動けない方が多く、きちんとケアしないと、不要な圧力がかかったり、身体がズレたりして褥瘡に…。褥瘡対策というとベッドのマットレスなどに目が向きがちですが、実は車椅子に長時間座っている方にも褥瘡が生じやすいのです。

 

そこで今回は、フランスベッド株式会社メディカル調布営業所 福祉用具専門相談員の神田邦仁さんを講師にお迎えして、「車椅子シーティングから考える褥瘡予防」についての社内勉強会を行いました。神田さんは今年度は昨年4月に続き2回目の登場。福祉用具についての豊富な知識を持ち、利用者さんにとっての最適を一緒に考えてくれる心強い味方です!

 

 

車椅子に長時間座っていても褥瘡が出来ないようにするためのポイントは2つ。

 

・まずは、その方の身長、体格に適した寸法の車椅子を使用することが大前提!きちんとフィッティングすることで、時間の経過とともにズルズルとお尻が前に滑ってくる、いわゆる「仙骨座り」や「ズレ力」を軽減し、褥瘡を予防することが出来ます。

 

・また、適切なクッションを利用することで、臀部の圧力の軽減し、姿勢の保持をサポートすることが出来ます。クッションの材質も沢山あるんですね!今回はそれぞれ価格、耐久性、除圧の力など一長一短あることを丁寧に説明していただきました。

 

 

一方で、安易にクッションを使用すればいいわけではないのです。例えば、褥瘡対策にはドーナツ型の円座が適しているように思えますが、ドーナツ状の周囲に通常以上の圧力がかかって逆効果。大切なのは均等に荷重出来ることなんですね。

 

また、クッションを替えたら座面の高さも変わってくるので、場合によっては車椅子自体の見直しが必要なこともあるそうです。

 

そして、よい車椅子、クッションを選んだらゴールではないのです。

例えば、ベッドから車椅子に移乗しして座る位置を修正した後などに、背中の後ろ、腿の下に手を入れてサッと滑らせて肌を浮かせる、いわゆる「背抜き」を行うことも褥瘡予防の基本です。皮膚を摩擦させながら移動動作を行った時は、皮膚上に溜まったズレ力を解消することが重要。こうした地道な日常での取り組みも褥瘡対策に繋がる…これは今日からでも実践できますし、ご家族にもお伝えしなくては!

 

今回、神田さんの「車椅子は移動手段ではなく、生活の場を作るということ」という言葉が、何だかとても腑に落ちました。

車椅子のフィッティングは福祉用具専門相談員さんやリハビリの専門職に任せることが多いかと思いますが、日常利用者さんに接する全ての職種が、「この車椅子合ってないかも」「クッションを替えた方がいいのかな」というセンサーが働くことが大事。

これからも一緒に生活の場を作っていければと思います。