介助者の腰を守ろう!
こんにちは!理学療法士の山崎です。
今月の社内勉強会は、運動学・動作分析から腰痛予防のお話をさせて頂きました。その内容をご紹介します。
腰痛についてのある調査結果では、
腰痛を訴える人の職業は、商業や製造業がそれぞれ全体の約15%に対して、医療介護分野は約50%と3倍以上!まさに医療介護分野の職業病です。どのようなケアをしている時に腰痛が発生しているかは、移乗介助時が35%と一番高く、入浴場面・トイレ場面・おむつ介助の場面がそれぞれ10%と続いています。
腰痛が起こる要因は大きく3つに分けられます。
- 動作要因――介助者が腰部に負荷のかかりにくい方法を知らずに介助を行うことで腰痛に繋がります
- 環境要因――ベッドや車椅子の高さが合っていない、介助するスペースが狭すぎる、もしくは広すぎることで、腰部に余分な負荷がかかることがあります
- 個人要因――年齢や体格、基礎疾患など介助者個人に関わる要因です
若手の看護師さんや介護士さんはパワーがあるだけに、これらの要因を物ともせず、力任せに利用者さんを上に引き上げて、立ち上がらせたり、移乗させたりすることができてしまいますが、この方法を続けるといつか腰痛の餌食になってしまいます!
ところで、腰部の負担は「重さ×距離」で計算できるのですが、日常的にはどれくらい腰部に負荷がかかっているのでしょうか?
私自身は3歳の子供のパパで、休みの日は毎日散歩に出歩いています。子供が途中で疲れ切ってよく抱っこをせがむのですが、この時に悪い姿勢で13㎏の子供を抱きかかえてしまうと、腰にはなんと約420㎏=グランドピアノ1台分の負荷がかかっています。

では、どうしたら腰部の負担を減らせるか…大切なポイントは3つです。
1つ目は、自分と利用者さんの距離を近づけて、自分の上半身を起こすこと

先の写真と比べて、子供を引き寄せてから抱きかかえるようにするとだけで、腰の負担を420kg→160kg、グランドピアノ1台分から力士1人分くらいに減らすことができます。
2つ目は、利用者さんに協力してもらうこと
そのためには介助する側が良い立ち上がり(立ち上がり=上に引き上げることではありません!)を誘導することが大切です。3段階に分けて考えてみましょう。
① まず、体を前に倒して、重心を前に移す
👉 このとき、距離を縮めようとし過ぎて前に倒れる動きを邪魔しないように
② さらに重心が前に移動してお尻が浮く
👉利用者さんにとって一番筋力が必要な場面です!膝がガクッと折れないように支えましょう
③ 最後に、体が上に伸びて立ち上がる
👉 ここで初めて引き上げる介助のタイミングです
3つ目は、環境を整えること
まず手軽にできるのは、ベッドや椅子の高さを少し高くすること。これだけで立ち上がりやすくなります。
また、手すりを設置することで利用者さん自身が腕の力を使って立ち上がりやすくなります。膝当て付き手すりなら膝折れのリスクも減らすことができて一石二鳥!
また、体重の多い方やなかなか協力動作が得られにくい方の場合は腰の負担を減らすといっても限界もあるので、トランスファーボードやリフトなども選択肢に入れた方がよいかもしれません。
介助方法や環境設定についてお困りごとがある時は、周囲のリハビリ職にぜひ相談してみてください。利用者さんの幸せととも、介助者の腰も守る介助方法や福祉用具について一緒に考えてくれるはずです!
