やる気スイッチを探して…
「やる気」とは自ら進んで何かをやろうとする気持ちのこと。この「進んで何かをやろうとする気持ち」に火をつけるって難しいですよね。「今日はなんとなくやる気が出ない…」この言葉を一度も言ったことのない人はこの世に存在しないのでは?
実は、訪問リハビリの世界では、このやる気がとても重要なんです。
ご自宅で行う訪問リハビリは日々の生活の中のほんの一部。介護保険サービスでのリハビリは週に120分までと上限があり、週に1、2回しかうかがうことが出来ません(注:神経難病など医療保険でのリハビリは除く)。そういった制限の中でいかに身体や言語などの機能を維持・向上させるか…。そのためには「日常生活の場面で使える機能を使う」ということと共に、「自主トレを行う」ことも大切です。日常生活の中で時間を捻出し、リハビリを習慣づけるかには、利用者さんのやる気にかかっているとも言えます。
訪問リハのスタッフは、利用者さんのこのやる気スイッチを探して試行錯誤しています。
今年5月にリハビリ病院から当事業所に転職してきた理学療法士(PT)が、肺気腫、肺癌術後の85歳の利用者さんの担当になりました。「もう少し早く歩けるようになりたい」「姿勢をよくしたい」というお気持ちはありますが、自主トレ(筋トレ)が中々続きません。写真入りの自主トレプリントを渡してみましたが、効果は今ひとつ。ここまでは「リハビリあるある」です。
でも、そこで彼女は諦めませんでした!部屋を見回して色鉛筆があることに気が付きました。そして、利用者さんが以前は設計の仕事をしていて、DIYなど自分で作業するのがお好きだということを思い出し、閃きました!
ヒマワリのぬり絵をお渡しし、1日1枚花びらに色を塗るという方式。これが大当たり!ご自分なりのルールできっちり塗り進め、自ら用紙をコピーをして、気付いたら2枚目、3枚目…自然と自主トレが定着しました!


そして、事業所で彼女からその話を聞いた私(言語聴覚士)もアイデアを分けてもらいました!88歳、歯肉癌術後の利用者さん。口腔器官の運動の自主トレをぜひやってもらいたいのですが、記憶力の低下があり、ご主人に促されて何とか続いているものの、ご本人自身のやる気スイッチを押せないものかと思っていて、試しに導入してみたら…

翌週にはちゃんと塗ってくださっていました!時々抜けているところもとってもリアル。こちらの方には塗り絵のバリエーションを増やすことにしてみたところ、素敵な作品が。もちろん塗り絵だけでなく、もちろん自主トレもしっかり習慣づいています。

来年も利用者さんそれぞれの「やる気スイッチ」を探して頑張ります!
