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利用者さんと共に紡ぐものがたり

今年度の私たちの新しいチャレンジ・・・それは講演会を初めて主催したこと!!

2024年10月11日、調布市文化会館たづくり8F映像シアターにて、琉球大学病院 地域・国際医療部の金城隆展(きんじょう たかのぶ)先生をお招きして、

介護・医療従事者向け講演会

「利用者さんと共に紡ぐものがたり~真の二刀流を目指して~」

を開催しました。

当ステーションの代表である宮川は、理学療法士になった当初から、「利用者さんの歴史や物語を大切にしたい」「人と人として利用者さんに寄り添いたい」という思いを持って訪問リハビリに従事し、2016年に楠の杜訪問看護ステーションを立ち上げてからも、「寄り添う」とは何かを考え続けてきました。

そんな時に、わが国におけるナラティヴ・エシックス(物語の倫理)研究のトップランナーである金城隆展先生と出会い、利用者さんと対話を重ねて「ものがたりを共に紡ぐこと」こそがその答えではないかと思い至りました。

そして、この気づきを日頃連携している多職種の方々と分け合いたい!という思いで、金城先生の講演会を企画しました。

金城先生は、琉球大学病院 地域・国際医療部に特命助教、倫理コンサルタントとして勤務する傍ら、年間100件以上のご講演で全国を飛び回っていらっしゃる臨床倫理、特にわが国における「物語の倫理」の第一人者。

こんな素晴らしい先生を事業所主催の講演会にお呼びできたなんて、開催から4ヶ月経った今でも夢のようです。

当日は、介護・医療領域の幅広い職種の方が65名も参加してくださり、事業所のスタッフ24名を加えて、計89名が先生の熱い講演に耳を傾けました。

「倫理」と言うとみなさん「難しい・・・」と腰が引けてしまいがちですが、金城先生の講義は、映画やドラマを沢山引用し、そこから私たちへの学びに結び付けるスタイル。これぞ「金城マジック」!!2時間超の講演会が本当にあっという間。

ナラティブとは、「物語が語り手と聞き手の間で循環して変容し、新たな意味が生じる場」。

つまり、一見悲劇のように感じられる利用者さんの病についての物語も、私たち介護・医療従事者が「共同著作者」としてありのまま受け入れ、承認し、共に歩むことで、新たな価値を見出す可能性が生まれるのです。

そして、私たち介護・医療従事者が病についての物語のよき「共同著作者」となるためには、自分の専門性を一時的に消し去る必要があります。専門家としての専門知識を押し付けたり、すぐに分析して結論を急ぐのは禁物。

でも、これって専門職として真剣に向き合うほど、陥りがちな落とし穴だったりしますよね。

専門家としてケアする・治すことによって利用者さんを幸福するのみならず、専門性を消し去り、相手を変えるのではなく自分が変わる覚悟で相手に向き合い、物語を共に紡ぐことによって幸福に貢献出来る介護・医療従事者になってほしいーー

先生が「真の二刀流」という言葉に込めた意味を深く心に刻むひとときでした。

終了後のアンケートには、「明日から実践できること」を書いていただく欄を設けたのですが、本当に沢山の方が熱い思いを記載してくださり、主催者としても感激。

金城先生からも、「調布は「自分が変わる」ことに共感してくれる方が多いですね!」と言っていただきました。

この感動を忘れずに、これからも利用者さんに心を尽くしていきたいと思います。